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2000年新聞発表概要(全文は英語

2000年12月発表分

 ILO、国連国際移民の日を祝う英語原文
    2000年12月18日(月)発表ILO/00/50

 国連は今年から、12月18日を国連国際移民の日と定め、加盟諸国及び国際機関、NGOが、移民の人権と基本的自由に関する情報を広め、外国人労働者の保護を確保する活動を行い、体験を共有する日としました。ソマビアILO事務局長は、移民・外国人労働者及びその家族の数は世界全体で1億人を超え、国際経済に多大な貢献をしているにもかかわらず、しばしば非人間的な待遇を受けていると指摘します。移民・外国人労働者及びその家族の数はアフリカで約2千万人、北米1,800万人、中南米1,200万人、南・東アジア700万人、中東900万人、欧州全土で3千万人に達し、全体の送金額は毎年、石油輸出高に次ぐ730億ドルの大台に達するとILOは推計します。ILOはまた、移民が外国人であるというだけで様々な差別や暴力に直面するとします。
 ILOは、反差別、統合推進政策・措置における「良い慣行」に関する国際的なデータバンクの形成に乗り出しました。また、移民管理・反差別の努力に向けた研修プログラムを開始し、政府が効果的な移民管理政策・慣行を樹立することを支援するサービスを向上させています。

 第6回ILO欧州地域会議ジュネーブで開催−欧州における情報通信技術の「スキルギャップ」解消に向けた訓練を推奨英語原文
    2000年12月11日(月)発表ILO/00/49

 ILOは、地域におけるILOの活動を吟味し、将来の戦略を探る地域会合を、米州、欧州、アジア太平洋、アフリカの4地域に関し、毎年1回順番に開催していますが、来る12月12〜15日の日程で第6回欧州地域会議がジュネーブで開催されます。討議資料として作成された事務局長報告(第1部「グローバル化する欧州」及び第2部「欧州・中央アジアのディーセント・ワーク」)は情報通信技術(ICT)におけるスキルギャップをICT産業の拡大を阻害する重要な要因とし、問題解決における訓練の重要性を指摘します。
 報告書は、欧州では、ICT産業における労働力需要は、今後年8%の割合で成長を続けるものの、技能不足と高齢化によって2002年には人材不足が160万人に達すると予想します。そして、失業者の再就職を促進する上でも再訓練の重要性を強調します。
 現在、欧州諸国のインターネット利用者は米国の3分の1近い約5千万人と推定されますが、その数は他のどの地域よりも急速に伸び続けており、2004年には7,700万人(労働力人口の7割)の労働者が職場でインターネットを利用すると予測されます。人口100人当たりのインターネット接続パソコン台数では、フィンランドが最も高く30%、ギリシャが最も低く2.2%となっています。
 会議では、このようなデジタル格差を解消する戦略、欧州の雇用・社会政策、社会的保護、社会対話といったテーマに関する話し合いが行われます。

 アフリカの労働力、HIV・エイズによってさらに激減−ILO、労働の世界におけるHIV・エイズに関する新計画を発進、実施規準を開発英語原文
    2000年12月1日(金)発表ILO/00/48

 12月1日にILOは、政労使による職場のエイズウイルス(HIV)・エイズ対策活動を支援する国際計画の発進を正式に発表しました。また、同時に発表された、12月3〜7日にエチオピアで開かれるアフリカ開発フォーラム2000に提出される報告書「アフリカのHIV・エイズ−労働の世界への影響」の中で、アフリカ29カ国の調査をもとに、2020年のアフリカ諸国の労働力はエイズの影響がなかった場合に比べ、最大35%の減を示すだろうとします。そして、エイズウイルス保有者の多くが壮年期の高技能労働者である事実に触れ、今後は児童労働者、女性労働者、高齢労働者が増大することによって、技能レベルの全体的な低下の可能性があると指摘します。
 労働の世界におけるHIV・エイズ国際計画は、労働の世界におけるHIV・エイズの広がりに対抗する政労使の努力を支援する技術協力計画です。2001年にアジア、アフリカ、中・東欧8カ国及びカリブ地域で具体的な活動が開始されます。ILOはまた、労働の世界におけるHIV・エイズに関する実施規準を準備中です。実施規準は拘束力はありませんが、HIV・エイズに関する職場方針を設定する際の指針を提供するものとなるでしょう。

2000年11月発表分

 ユーゴスラビア連邦共和国、ILOに加盟英語原文
    2000年11月28日(火)発表ILO/00/47

 11月初めに国連加盟が正式に認められたユーゴスラビア連邦共和国は、この度、ILO憲章の義務の受諾を表明する旨の同国外務大臣名の書簡をILO事務局長に送付することによって、11月24日付でILOに正式に加盟しました。ILO加盟国であったユーゴスラビア社会主義連邦共和国は、解体後の継承問題が決着するまで加盟国リストからの削除が凍結されていましたが、11月24日をもって同国はリストから削除され、新たにユーゴスラビア連邦共和国が加わることになりました。従って加盟国総数は175で変わりません。

 ILO、パレスチナ領域の労働者支援を求める英語原文
    2000年11月24日(金)発表ILO/00/46

 ILOは今年春、パレスチナの社会・労働問題に対処する18のプロジェクトからなる技術協力計画を立案し、加盟国の資金協力を求めてきましたが、11月24日に開かれた関係者会合でソマビアILO事務局長はパレスチナで見られる危機的状況を憂慮し、住民の生活状態の悪化に緊急に対処するよう国際機関に呼びかけました。
 会議に出席したパレスチナのアルナッチェ労働大臣は、ガザと西岸における暴力の広がりを原因とする領域内の失業者が36万人以上にのぼり、困窮による餓死者が発生する危険性を訴えました。
 会議では、緊急ベースで、フランス政府の支援による自営のための少額融資プロジェクト、アラブ連邦の支援(検討中)による障害者リハビリテーション・プロジェクトをILOが実施することが決定されました。また、イタリア政府はパレスチナにおける職業訓練の育成に関する現在進行中の技術協力プロジェクトに50万ドルを支出することを約しました。

 第279回ILO理事会閉会−結社の自由委員会、グアテマラ、エチオピアに言及英語原文
    2000年11月21日(火)発表ILO/00/45

 11月17日に閉会した第279回ILO理事会では、ミャンマーの強制労働に関わる2000年総会決議の発動決定(ILO/00/44参照)に加え、コロンビアの結社の自由案件に関する事務局長特別代表の報告、結社の自由委員会報告、貿易の社会的側面作業部会、ILO基準関連活動等に関する話し合いが行われました。
 労組活動家に対して広く見られる暴力行為を吟味するため、10月にコロンビアを訪れたR・F・アルブルケルケ事務局長特別代表は、状況の深刻さを強調し、労働者の基本的権利の侵害が増していることに懸念を示し、ILO事務所の設置により、コロンビア政府の現状変革、社会対話の円滑化に向けた努力が支援されるよう期待を表明しました。コロンビアのA・ガルソン労働・社会保障大臣はこれに対し、労使の安全を擁護するため、ILO及び労組と協力することを約しました。
 理事会のグローバル化の社会的側面作業部会では、「グローバル化する世界における開発のための組織、交渉、対話」のテーマに関する話し合いが行われ、調査研究範囲の拡大や他の機関との協力可能分野の発掘といった点で合意が得られました。
 基準関連活動に関しては、新しい「統合的な」アプローチに全員の賛意が表明され、2003年から、まず労働安全衛生の分野で、この方式に則った基準設定に踏み出すことが決定されました。
 理事会の結社の自由委員会では、労組活動家の殺害、暴行、脅迫といった人権侵害例が頻繁に見られるグアテマラの深刻な事態や労組活動家の殺害、逮捕といった組合活動に対する政府の介入が見られるエチオピアの案件等が審議されました。

 ミャンマーの強制労働に対し、ILO理事会は創立以来初の行動に着手英語原文
    2000年11月17日(金)発表ILO/00/44

 ミャンマーの強制労働問題に関しては、今年6月のILO総会で、今年11月30日までに、1998年の審査委員会勧告(@法制改正、A強制労働の禁止、B違反者の処罰)の具体的な実施が見られない限り、一連の措置を発動するとの決議が採択されていますが、11月17日に閉会したILO理事会は、この決議の発動を決定しました。10月に同国を訪れた技術協力ミッションの報告をもとに、理事会は、ミャンマーが審査委員会の勧告に従った行動をとっていると全体として満足するに至らず、従って決議に基づく措置の実行を不適当とするとの総意が見られなかったとします。ただし、ミャンマー政権による勧告実施を推進するためILO事務局長は協力を続けるべきとの意向が一部に強く見られる事実に鑑み、来年3月の理事会に同国の努力に関する事務局長報告を提出し、来年6月の総会で取るべき措置を勧告することとしました。
 総会決議に盛り込まれた措置には、@総会における問題の審議継続、A加盟国政労使・他国際機関に対する関係見直しの働きかけ、B国連経済社会理事会におけるこの問題討議の提案、C理事会に対する事務局長定期報告の提出等が含まれています。

 ILOの最悪の形態の児童労働条約発効−最も搾取的で危険な形態の児童労働撲滅に向けた新たな法的手段の誕生英語原文
    2000年11月17日(金)発表ILO/00/43

 児童(18歳未満)の人身売買、奴隷労働、売春、ポルノ、麻薬の生産・取引等の不正活動における利用、武力紛争のための強制徴用、その他児童の健康と安全を損なうあらゆる活動を最悪の形態の児童労働とし、このような活動の禁止と撤廃に向けた活動計画の設計・実施を批准国に求める最悪の形態の児童労働条約(第182号)は、非常に早いペースで批准が進み、昨年採択されたばかりにもかかわらず、今年11月19日の発効時には、既に米国、英国等を含む4分の1以上のILO加盟国で批准されています。
 第182号条約の採択をきっかけに、ILOの児童労働撲滅国際計画(IPEC)の活動もますます活発化し、現在、70カ国余りで活動が進められています。ジャーマル漁業(海上に設置されたテニスコート大の台を生活拠点とする漁法)で働く児童の数が大幅に減少したインドネシアや2002年中に86万6千人の児童を最悪の形態の労働から救出することを公約したブラジルなど、批准国では条約の規定に沿った進展が見られます。

 ILO事務局長は「ディーセント・ワーク」の必要性を訴え、社会統合に向けた最善の手段としての雇用の重要性を強調し、グローバル化を支える包括的な雇用政策の策定を提案英語原文
    2000年11月10日(金)発表ILO/00/42

 11月10〜11日の日程で、トリノ(イタリア)で開催されていたG8労働大臣会合に出席したソマビアILO事務局長は、11月10日にスピーチを行い、社会排除と貧困の問題を解決するカギは雇用にあるとし、高齢労働者と若者に特に配慮しながら、雇用の潜在力が十分に発揮される条件整備に向け、国内及び国際レベルで包括的な雇用政策を立案していく必要性を訴えました。また、ILOが採択した労働の基本的原則・権利宣言に触れながら、労働者の権利は成長を阻むものではなく、全ての人がグローバル経済の恩恵を享受するための必要条件であるとし、対話と交渉を通じた労働市場の問題解決を図ることの意義を強調しました。

 ユースー・ンドゥールを反児童労働キャンペーン名誉大使に任命−最悪の形態の児童労働撲滅に向けた国際的シンガーの努力を表彰英語原文
    2000年11月8日(水)発表ILO/00/41

 ILOは最悪の形態の児童労働条約(第182号)の発効を前にした11月8日に、セネガル人ミュージシャンのユースー・ンドゥールをILO反児童労働国際キャンペーンの名誉大使に任命しました。ピーター・ガブリエル、スティング、ルー・リード、ポール・サイモンといったスーパースターとのコラボレーション経験もある国際的なミュージシャン、ユースー・ンドゥールは、10年以上にわたり、ユニセフ、アムネスティ・インターナショナル等の国際組織に協力し、人道活動、特に児童の権利の擁護に向けた活動を活発に行ってきました。既に彼の新作ミュージック・ビデオ「My Hope is in You」は、ILOの第182号条約批准キャンペーンに用いられています。
 任命式では、彼の長年の努力を讃え、1998年にILO本部敷地内に建立されたジュネーブ在住の芸術家ローレン=ドミニク・フォンタナ作の彫刻「搾取から教育へ」をかたどった記念品が授与されました。
 児童(18歳未満)の人身売買、奴隷労働、売春、ポルノ、麻薬の生産・取引等の不正活動、武力紛争における児童の利用、その他児童の健康と安全を損なうあらゆる活動を最悪の形態の児童労働とし、このような活動の禁止と撤廃に向けた活動計画の設計・実施を批准国に求める第182号条約は、史上まれにみるスピードで批准が進み、今年11月19日の発効を前に、既に4分の1以上のILO加盟国で批准されています。

 ILO第279回理事会開催−強制労働、結社の自由、グローバル化等を討議英語原文
    2000年11月2日(木)発表ILO/00/40

 11月2〜17日の日程でジュネーブで開催される第279回ILO理事会では、@ミャンマーの強制労働問題、Aグローバル化における団結、交渉、対話の役割、Bエイズと労働の世界国際計画、C最悪の形態の児童労働条約(第182号)、D基準関連活動の改善、Eコロンビアの結社の自由に関する事務局長特別代表の報告等に関する話し合いが行われます。
 @に関しては、先月ミャンマーに派遣されたILO技術協力ミッションの報告書をもとに、11月13〜17日の週に、今年6月の総会で採択された決議発効の是非に関する話し合いがもたれます。強制労働の存在が指摘されているミャンマーに、1998年の審査委員会の勧告(@ILOの強制労働条約(第29号)に沿った法制改正、A強制労働の禁止、B違反者の処罰)に従った改善が今年11月30日までに見られなかった場合、一連の措置が発動されることになります。これには、総会における問題の継続審議、加盟国政労使、ILOと協力関係にあるほかの国際機関に対するミャンマーとの関係見直し働きかけ、国連による問題審議要請、理事会に対する事務局長定期報告の提出等が含まれます。
 Aについては、理事会のグローバル化の社会的側面作業部会に、結社の自由の尊重と団体交渉権の効果的な承認が均等で効率的な成長を促進する上で果たす役割を吟味する討議資料が提出され、それに基づく話し合いが行われます。討議資料は、結社の自由と団体交渉は経済成績に対する障壁とはならず、政労使による社会対話はマクロ経済の調整と経済・社会戦略における合意の拡大を支援する上で重要な役割を演じるとします。
 Bについては、今年6月の総会で採択された決議を受けて誕生した労働の世界とエイズ・エイズウイルス(HIV)に関するILO国際計画の具体的活動内容が吟味されます。昨年採択された条約であるCについては、来る11月19日の発効を前にした11月8日に、セネガルのミュージシャン・ソングライターのユースー・ンドゥールをILO児童労働反対キャンペーンの名誉大使に任命する式典が開かれます。

2000年10月発表分

 ミャンマーのILO強制労働条約遵守を吟味する11月の期限切れを前に、同国へILOミッション派遣英語原文
    2000年10月19日(木)発表ILO/00/39

 強制労働の存在が指摘されているミャンマーについては、1998年に開かれた審査委員会で、@ILOの強制労働条約(第29号)に沿った法制改正、A強制労働の禁止、B違反者の処罰が求められましたが、具体的な改善措置が見られませんでした。そこで、今年6月のILO総会で、今年11月30日までに審査委員会の上記の勧告を実施する具体的な措置を講じない場合、一連の制裁措置を発動するとした決議が採択されました。勧告の実施状況を審査するため、ILOは10月19日、モーパン事務局長特別顧問を団長とする5名の技術協力ミッションをミャンマーに派遣しました。今年5月に続く、この2度目のILOミッションの報告書は、来る11月2〜17日にジュネーブで開催されるILO理事会に審議のため、提出されます。
 11月30日の期限までにミャンマーが具体的な立法・行政・執行措置をとらない場合、@この問題を今後も総会で取り上げる、Aミャンマーの強制労働が広まらないよう、同国との関係を見直し、適切な措置を講じるようILO加盟国政労使に勧める、BILOと協力関係にあるほかの国際機関に、ミャンマーとの協力を見直し、適当な場合、強制労働を直接・間接的に後押しする活動を直ちに停止するよう働きかけることをILO事務局長に求める、C国連の経済社会理事会に、この問題を来年7月の議題に取り上げ、政府その他専門機関がその関与によって強制労働を直接・間接的に後押ししないよう求める勧告の採択に向けて話し合うよう働きかけることをILO事務局長に求める、D本件に関する定期報告を理事会に提出するようILO事務局長に求める、等を内容とする総会決議が発効することとなります。

 繊維、医療、履物産業における世界の雇用水準は産業の移転を反映し、横這い−産業雇用人口に占めるアジアの割合急成長−法逃れの搾取工場が産業労働力を危機にさらす英語原文
    2000年10月16日(月)発表ILO/00/38

 10月16〜20日の日程でジュネーブのILO本部では履物・皮革・繊維・衣料産業の労働慣行に関する三者構成会議を開催しています。会議の討議資料として作成された報告書は、このグローバル化の代表例といえる前記産業の生産動向と労働慣行の近況を吟味します。産業の国際化は賃金上昇を抑える働きをし、この産業の賃金水準を他より低くする一因となっています。産業の雇用人口は80年代に世界的に低下した後、90年代を通じ、3千万人近くで安定していますが、最近は大幅なアジア・シフト傾向を見せ、世界の産業労働力の20%近くの労働力を擁する中国が最大の雇用人口を誇っています。労働コストも低い中国(1時間当たり0.45ドル、日本は9.40ドル)は世界最大の衣料輸出国でもあります。
 報告書はこの他に、法逃れの搾取工場、児童労働、強制労働、男女賃金格差、労働条件が悪い輸出加工区への集中といった、産業特有の問題点も取り上げます。市民社会とマスコミの圧力を受け、ブランドイメージを高めるため、自主的な行動規範を作成する企業が多いことは歓迎しながら、この動きが大企業に偏り、明確な成果を上げていないことを指摘します。

 ILO報告書、フィンランド、ドイツ、ポーランド、英国、米国における職場の精神衛生を吟味−職場のストレス費用は上昇し、うつ病はますます一般的に英語原文
    2000年10月10日(火)発表ILO/00/37

 10月10日の「世界精神衛生の日」に際し、ILOはフィンランド、ドイツ、ポーランド、英国、米国の調査をもとに、「職場の精神衛生」と題する報告書を発表しました。報告書は、この5カ国で職場の精神衛生問題がますます多発しており、例えば米国では、毎年、生産年齢人口の10人に1人がうつ病にかかり、治療に関連した国民支出は300〜440億ドルに達するとします。フィンランドでは労働者の半分以上が睡眠障害などストレスによる何らかの症状を示しており、ドイツでは精神的な不調を原因とする欠勤によって生じる生産性の喪失高が年間50億マルクを超すとみられ、英国では毎年、労働者の10人中約3人が精神的な不調を感じ、ポーランドの公衆衛生統計は精神衛生上の治療を受けている人の数が増加していることを示します。
 精神的な不調の原因は複雑で、職場慣行や収入・就業パターンは国によって異なるものの、報告書は、ストレス、燃え尽き症候群、うつ状態の高い発生率は、経済のグローバル化を一因として労働市場で発生している変化と関連すると推測させる共通の兆候がいくつか見られるとします。例えばフィンランドでは、90年代初期の景気後退で社会と労働市場に、高失業率、雇用の不安定化、短期契約、時間的余裕のなさといった多くの変化が生じましたが、同時に職場の精神衛生が著しく悪化したとします。同様の状況は高失業、合理化、技術導入スピードの上昇が同時に進行したドイツや政治の変化に伴う社会や経済の大きな変動を経験したポーランドでも見られるとします。生産性要求の高まりに応えて新技術や新しい作業組織が導入され、情報技術革命の影響が競争を加速化した英米でもうつ病や仕事によるストレスといった慢性状態に関連した障害の発生率が高まる可能性があります。
 このような事態に対処し、各国では職場の精神衛生問題に対処しようとの動きが見られ、例えば英国では、精神衛生の問題で労使団体が活発な役割を演じ、一部企業では既に職場の精神衛生方針が定められたとします。ILOが世界保健機関(WHO)と共同で発行した「精神衛生と労働」と題する報告書には、このような実践例が多数紹介されています。

2000年9月発表分

 ILO「中核的」条約総批准国数、千を超える英語原文
    2000年9月22日(金)発表ILO/00/36

 ILOは結社の自由と団結権に関する第87号及び第98号条約、強制労働廃止に関する第29号及び第105号条約、差別撤廃に関する第100号及び第111号条約、児童労働廃絶に関する第138号及び第182号の8条約を「中核的条約」と称して、全加盟国による批准促進キャンペーンを展開していますが、この度、この8条約の批准国数が合わせて千を超えました。
 ソマビアILO事務局長は、「基本的人権と見なされるこの中核的労働基準の原則が国際法とILO加盟国の国内法に共に掲げられる日が近づいた」と喜びを表しながらも、「グローバル経済の恩恵を全ての人々に行き渡らせるためには、批准を越え、労働者の実生活における履行に向かわなくてはならない」とのコメントを述べました。現在、中核的条約を全て批准している加盟国は英国、スイス、インドネシア等24カ国に上ります(日本は第29、87、98、100、138号の5条約を批准)。今年11月の理事会では、未批准国が批准できない理由について、詳しく吟味されることになっています。

 ILO産業別会議、グローバル経済における持続可能な農業を吟味;児童労働、男女差別、職業上の危険を検討英語原文
    2000年9月18日(月)発表ILO/00/35

 9月18〜22日の日程で、世界26カ国の政労使代表が参加し、グローバル経済における雇用と農業の近代化を通じた持続可能な農業開発への移行に関する三者構成会議がジュネーブで開かれています。討議資料として会議に提出された「グローバル経済における持続可能な農業(英文・68ページ・1,500円)」と題する報告書は、様々な側面からグローバル化が農業に与えた影響を吟味します。報告書は、グローバル化の過程で農業は成長の主流から取り残されてしまったとし、小規模農家の参加を得て、活動の新側面を切り開くことの重要性を説きます。
 この他に、農業に多く存在する児童労働、意思決定と報酬面における男女差別、最も危険な産業の一つに数えられる農業の労働安全衛生といった問題を扱います。会議では、遺伝子組み換え作物の利用によって生じる様々な問題に関する一般的な指針の検討も予定されています。報告書は、安全で持続可能な農業開発のために必要な要素の大半は、ILOの提唱する「ディーセント・ワーク(権利が保護され、十分な収入を生み、適切な社会的保護が供与された生産的な仕事)」の概念が提供しようと結びます。
 報告書の本体は東京支局でご覧になれます。

2000年6月発表分

 ILO、貧しい労働者を支援する戦略を吟味するワークショップを開催英語原文
    2000年6月29日(木)発表ILO/00/34

 ILOは、現在ジュネーブで開催されている社会開発サミットのフォローアップの現状を扱う国連総会特別会期に合わせ、複数のワークショップを催しています。6月30日には、「排除された人々を世界経済へ組み込む」と題し、グローバル化が生み出した富のより公正な分配の手段と政策を話し合うワークショップを開催されます。グラミーン銀行(バングラデシュ)頭取等が参加し、新技術、世界の資金を動員する革新的な方法、インフォーマル・セクターの潜在力の活用、インフォーマル・セクターの女性労働者の組織化といったテーマに関し、話し合いを行います。

 ILO、新社会開発計画発表−社会開発サミットへのフォローアップとしてまずイタリア政府が資金拠出英語原文
    2000年6月28日(水)発表ILO/00/33

 ILOは社会開発サミットのフォローアップ活動として、新たにイタリア政府より750万ドルの任意資金協力を得て、社会開発に関する技術協力計画を開始しました。「大学計画」と名付けられたこの計画は、中米、地中海、西岸・ガザ地区、バルカン諸国、アフリカの約15の途上国における政労使の開発担当者を対象に、訓練を通じたディーセント・ワーク(権利が保護され、十分な収入を生み、適切な社会的保護が供与される生産的な仕事)の推進を目指したものとなっています。雇用創出、保健制度の開発、労働における基本的権利の分野を中心とした訓練が行われ、社会的保護、中核的労働基準、社会対話の強化に重点を置いた国内開発計画を拡充する現地レベルの社会開発能力の育成を目的とします。

 2000年ジュネーブ子どもの日英語原文
    2000年6月27日(火)発表ILO/00/32

 ILOは複数の機関と協力し、6月28日を「2000年ジュネーブ子どもの日」とし、児童労働廃絶に向けた国際運動に関する幾つかのイベントを開催しました。スイスによる最悪の形態の児童労働条約(第182号)批准を記念して開かれたこのイベントでは、ILO本部における批准書寄託の式典を経て、ビクトリアホール(ジュネーブ)でILO、在ジュネーブ・イタリア政府代表部、ジュネーブ市の共催で最悪の形態の児童労働廃絶をテーマとした青少年連帯コンサートが開催されました。

 ILO事務局長、「新たなる連帯」を求め、世界経済はあまりにも多くの労働者を排除し、傷つけていると指摘する英語原文
    2000年6月26日(月)発表ILO/00/31

 6月26〜30日の日程でジュネーブで開催されている国連総会特別会期では、5年前にコペンハーゲンで開かれた国連社会開発サミットのフォローアップの現状に関する話し合いが行われています。
 1995年の社会開発サミットの提唱者であり、サミット事務局長を務めたソマビアILO事務局長は、会議初日に演説し、サミットの成果はある程度政策面に取り込まれてはいるものの具体的な行動に結びついていないとして、「さらなる連帯、共通の目的意識の再確立」を主張しました。そして、1998年の労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言の採択を、社会開発サミット後の重要な一歩と位置づけ、宣言は「世界経済が必要とする社会基盤」を提供するだろうと述べました。

 事務局長、コロンビアと協力するILO特別代表任命予定;セウソ・L・ヌネス・アモリン政府理事(ブラジル)2000〜01年のILO理事会議長に選出英語原文
    2000年6月16日(金)発表ILO/00/30

 6月16日にジュネーブで開催された第278回ILO理事会では、2000〜01年の1年間の議長として、ブラジルのセウソ・L・ヌネス・アモリン駐ジュネーブ大使が選出されました。副議長は昨年と変わらず、使用者側はドイツ使用者連盟のロルフ・チュージング理事、労働者側は英国労働組合会議総評議員のウィリアム・ブレット理事が再任されました。
 理事会はILO事務局長に対し、過去10年にわたり組合活動家に対する暴力行為が指摘されてきたコロンビアに関し、今年2月に派遣された直接接触ミッションの報告を受け、ILOの基準適用監視機構の勧告を政労使が実行することを支援し、取られた行動を確認する特別代表の任命を要請しました。特別代表は労働組合の権利と組合活動家の安全に影響する同国の一般情勢とILO監視機構が行った提言の実行において達成された進展を事務局長を通じて理事会に報告することとなります。2月のミッションの報告書によれば、コロンビアでは準軍事集団、ゲリラ、そして時には公安勢力による組合リーダー及び組織労働者の殺害、誘拐、殺害脅迫、その他暴力行為が広く見られ、政府記録によるだけでも1991〜99年の期間で593人が暗殺されたことになっています。
 理事会の結社の自由委員会では、この他に、中国の組合活動家に対する暴行・拘留、独立労働組合結成または労働者の利益擁護活動を試みた者の投獄に関する申立が審議されました。委員会は、組合活動家の即時釈放等を要求し、政府にILO直接接触ミッションの受け入れ可能性を打診しました。

 世界の大半で失業保険なし;社会的保護制度の重い負担;ILO『世界労働報告2000年版』発表英語原文日本語訳文
    2000年6月21日(水)発表ILO/00/29

 ILOの定期刊行物「世界労働報告」2000年版(英文・321ページ・4,500円)のテーマは社会保障となっています。「変動する世界における所得保障と社会的保護」を副題に、世界の社会保障(失業保険、健康保険、年金、公的扶助等)の現状を吟味し、21世紀に向けた社会保障改革の道筋を探ります。

 ILO総会、母性保護に関する新条約・勧告採択;ミャンマーに対する行動の期限設定;基準適用委員会、カメルーン、スーダン、ベネズエラに特に言及英語原文
    2000年6月15日(木)発表ILO/00/28

 第88回ILO総会の主な成果は以下の通り。
@母性保護
 昨年のILO総会における第1次討議を経て、1952年に採択された母性保護改正条約・勧告を改正する新母性保護条約・勧告が採択されました。新条約は前条約に比べ、多くの分野で保護を強化し、対象範囲を原則として全女性労働者に拡大しました。母子の健康保護、併発症等の場合の休暇延長、哺育のための業務中断時間のみなし労働時間化など新しい規定が導入され、出産休暇期間は現行12週間が14週間に延長されました。
Aミャンマー
 強制労働条約(第29号)違反が問題となっているミャンマーに関しては、11月30日までに具体的な改善が見られない場合、発動するとの条件付で、1998年の審査委員会の勧告遵守を強制するための決議が採択されました。提案されている措置には、@問題を総会で将来的にも議題として審議すること、AILO加盟国政労使にミャンマーとの関係を見直し、その関係がミャンマーの強制労働を奨励しないよう適切な措置を講じ、ILO理事会に報告すること、BILOと関係のある国際機関にミャンマーに対する支援の再検討を働きかけること、C国連経済社会理事会にこの問題を20001年7月の議題に取り上げるよう要請すること、D理事会に事務局長の定期報告を提出すること等が含まれます。
B条約撤回
 創立以来初めて、発効要件を満たす批准が得られないままに時代遅れとなってしまった30年代に採択された5条約(労働時間関係4条約、移民労働関係1条約)が撤回されました。
C基準適用
 加盟国による条約の適用状況を審議する基準適用委員会では24件の個別案件が取り上げられ、特にスーダンの強制労働、カメルーンとベネズエラの結社の自由条約違反が問題となりました。
Dエイズ/エイズウイルス(HIV)
 加盟国政府、及び適切な場合には労使団体に対し、労使のHIV/エイズ対処能力を高め、危険層を保護する労働安全衛生制度を強化し、全国及び企業レベルにおけるエイズの影響を緩和する社会・労働政策及び計画の策定と実行を求める決議が採択されました。会期中にILOは国連エイズ共同プログラム(UNAIDS)と協力枠組み条約を締結しました。
E農業の安全衛生
 来年の総会で、農業の安全衛生に関する条約・勧告の採択に向けた第2次討議が行われることとなりました。提案される基準案は、自営農家を含むすべての農業労働者を対象とし、農業の環境に対する影響にも触れたものとなる予定です。
F人材開発と訓練
 一般討議の結果、人材開発と訓練の経済開発への寄与、人的資源分野への資金利用推進に向けた債務帳消し・軽減の必要性、全国的資格認証枠組みの開発等に言及した結論が提出されました。また、訓練における新しいアプローチを反映するよう、人的資源開発勧告(第150号)を改正することが提案されました。

 ILO総会、ミャンマーの強制労働に関する決議採択英語原文
    2000年6月14日(水)発表ILO/00/27

 ILO憲章第33条を初めて発動し、ミャンマーの強制労働条約違反問題を審議していたILO総会は、6月14日、同国に強制労働条約遵守を求める決議を賛成257票、反対41票、棄権31票で採択しました。
 総会開幕に先立つ5月27日付で、ミャンマーのティン・グエ労働大臣はILOに対し、既に同国は強制労働を消滅させる措置を講じており、将来的な発生を確実に予防する立法・行政・司法にわたる適切な措置を考慮すると記した書簡を送付しました。これを受けた上で採択された決議は、労働大臣の意向が、今年11月30日までに「審査委員会の勧告が満足されたことを示す十分に詳細で具体的な」立法・行政・執行措置の枠組みに転換されなかった場合、一連の措置を発動するとしました。
 提案されている措置には、@問題を総会で将来的にも議題として審議すること、AILO加盟国政労使にミャンマーとの関係を見直し、その関係がミャンマーの強制労働を奨励しないよう適切な措置を講じ、ILO理事会に報告すること、BILOと関係のある国際機関にミャンマーに対する支援の再検討を働きかけること、C国連経済社会理事会にこの問題を20001年7月の議題に取り上げるよう要請すること、D理事会に事務局長の定期報告を提出すること等が含まれます。ILOはこれらの措置発動期限までに、ミャンマーが必要な枠組みを設置できるよう支援を提供することとなります。

 ILO、6月20日に「世界労働報告2000年版」を発表英語原文
    2000年6月13日(火)発表ILO/00/26

 ILOは、6月20日に「世界労働報告2000年版(英文・321ページ・4,500円)」を発表します。今年は「変動する世界における所得保障と社会的保護」を副題に、世界各国における社会保障(年金、失業保険、健康保険、公的扶助等)の現状を豊富な統計資料と共に吟味し、21世紀に向けた社会保障改革の道筋を探ります。

 新しいILOの報告書、労使に対するHIV・エイズ災禍の影響を警告:労働の世界におけるHIV・エイズに関する新しいILOプログラムの発進に向けて作成された報告書は、政府、使用者、労働者の緊急活動を呼びかける英語原文
    2000年6月7日(水)発表ILO/00/25

 ILO総会会期中の6月8日、労働の世界におけるエイズ・エイズウイルス(HIV)問題を話し合うハイレベル特別会合が開催されます。会議資料として発表された「HIV・エイズ:人間的な労働、生産性、開発に対する脅威(英文)」と題する報告書は、エイズを原因とする労働力の減少幅が20年後には約2,400万人に達するおそれがあるとし、問題の深刻さを指摘した上で、政労使による緊急対応を呼びかけます。
 エイズ禍が最も深刻なサハラ以南アフリカ地域では、成人人口の1割以上がHIVに感染している国もあり、例えばナミビアの労働力は2020年にエイズの影響を受けなかった場合の22%減になることが予想されます。エイズの広がりは児童労働や女性の労働市場への進出を推進し、企業にとっては保健医療費や訓練費用といったコストの増大と収益の低下をもたらしています。
 ILOは国連エイズ共同プログラム(UNAIDS)と協力枠組み条約を締結し、予防・支援活動を強化します。報告書は政労使が取りうるエイズ対策として、予防の重要性に関する啓発活動、患者・感染者の保護・支援、労使を対象とした予防・保護計画の開発、データ収集・分析、法整備等を提案します。

 児童労働条約、ILO史上最速のペースで批准進む:最悪の形態の児童労働廃絶に向けた国際活動増大英語原文
    2000年6月7日(水)発表ILO/00/24

 昨年のILO総会で全会一致で採択された、最悪の形態の児童労働(強制労働、売春等)の廃絶を目指した条約(第182号)は、ILO条約史上稀に見るスピードで批准が進んでおり、既に英米を含む27カ国から批准されています。ILO総会会期中の6月7日、批准国を讃え、全加盟国による批准達成に向けたレセプションが開催されました。条約は今年11月19日に発効します。
 働く子どもの生活に条約は具体的な影響を与えてきています。例えば、アジア初の批准国となったインドネシアでは孤立した海上のプラットホーム上で数ヶ月の生活を強いられるジャーマル漁業の児童労働廃絶が至上課題となり、既に約2千人の子ども達が救出されました。ブラジルでも、炭焼き場や紅茶農園といった危険な産業で働く子ども達約12万人が仕事から離れています。児童労働が最も広範に見られるアフリカではILOの児童労働撲滅国際計画(IPEC)の活動が広まり、一部西アフリカ諸国では児童の人身売買、児童兵士対策に向けた活動が開始されました。

 ILO事務局長、母性保護強化の必要性を強調;世界的に見られる貧困と貧しい労働者の問題に「ラディカルな新しい解決策」を求める英語原文
    2000年6月5日(月)発表ILO/00/23

 6月5日の総会演説において、ソマビアILO事務局長は自らが提唱するILOの基本目標であるディーセント・ワーク(権利が保護され、十分な収入を生み、適切な社会的保護が供与された生産的な仕事)を、グローバル経済のもとで労働者が当然に期待できるものと位置づけ、昨年採択された「労働における基本的原則・権利宣言」を社会基盤とし、各国でその実現を図っていくことが今後の課題としました。
 そして、今総会の議題になっている母性保護条約の改正に言及し、ディーセント・ワークの基本要素として効果的な母性保護を提供できるだけの強力な新条約の採択に結びつくであろうとの期待を述べました。

 ジョルジェ・フェルナンド・ブランコ・デ・サンパイオ・ポルトガル共和国大統領、ILO総会で演説英語原文
    2000年6月5日(月)発表ILO/00/22

 6月5日に特別ゲスト(guest of honour)として総会演説を行ったサンパイオ・ポルトガル大統領は、ILOの行うディーセント・ワーク(権利が保護され、十分な収入を生み、適切な社会的保護が供与された生産的な仕事)達成に向けた活動に対する国際社会の支援を呼びかけました。また、資金の流れと企業活動のグローバル化及び新情報技術の発達がもたらした格差拡大を押さえる手段として、貧困撲滅に向けた社会的保護制度の再構築、弱者の社会統合の円滑化といった政策を提唱しました。

2000年5月発表分

 ILO総会開会、議長にアルゼンチン労働相を選出英語原文
    2000年5月30日(火)発表ILO/00/21

 5月30日に開会したILO総会は、議長としてアルゼンチンのマリオ・アルベルト・フラマリケ労働・訓練・人的資源大臣を選出しました。使用者側副議長としてはカーター・ワラス社のトーマス・P・ムーアヘッド人材担当バイス・プレジデント(米国)、労働者側副議長としてはクリスチャン・アッピア・アギエイ・ガーナ労組会議書記長、政府側副議長としてはエディット・バウエル・スロバキア労働・社会問題・家族大臣がそれぞれ選出されました。

 ILO、円卓会議で人間的な仕事(decent work)のための訓練と学習について討議:必要な訓練を受けられない人々の数がますます増加英語原文
    2000年5月29日(月)発表ILO/00/20

 今年のILO総会では、人材開発と訓練に関する一般討議が行われ、不十分な継続訓練・教育の機会、失業者を安定した仕事に再就職させる上の問題、若年者の失業問題解決のための職業教育・訓練、必要なときに必要な訓練を受けられる機会の縮小といった問題が討議されます。討議は5月31日から開始されますが、これに先立ち、5月30日に、人間的な仕事(decent work)のための学習と訓練に関する円卓会議が開催されます。

 ILO総会、母性保護、農業の安全衛生について討議英語原文
    2000年5月29日(月)発表ILO/00/19

 今年のILOの年次総会は、5月30日〜6月15日の日程でジュネーブで開催されます。主な議題は次の通りです。
@グローバル・レポート
 1998年の総会で採択された労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言のフォローアップ文書であるグローバル・レポートが提出され、これに基づく審議が行われます。「職場の声(Your Voice at Work)」と題する今年のレポートは、ILO加盟国の結社の自由と団体交渉権に関する現状を記し、労組結成の禁止など、この基本的原則及び権利が依然、全世界的な実現を見ていない状況を指摘します。
Aミャンマー
 強制労働の存在が問題となっているミャンマーについて、ILO憲章規定を初めて発動し、ILO審査委員会が1998年に出した勧告の実施を確保するための措置が話し合われます。総会開催の前週に、ILO技術協力ミッションがミャンマーを訪れ、(i)法改正、(ii)強制労働の排除、(iii)違反者の処罰を求める審査委員会の勧告実施に向けた話し合いをミャンマー政府と行いました。ミッションの報告書も総会に提出されます。
B母性保護
 昨年の第1次討議を経て、1952年に採択された母性保護改正条約(第103号)及び同勧告(第95号)を改正する新条約と新勧告の採択に向けた話し合いが行われます。提案されている条約案は、適用範囲、出産休暇期間、併発症等の場合の休暇、現金給付の水準、雇用保護、差別禁止、哺育等に関する規定を盛り込んだものとなっています。勧告案は出産休暇の期間延長、出産給付、健康保護等に関するより具体的な規定を含んでいます。
C農業の安全衛生
 鉱業、建設業と並ぶ、3大危険産業の一つである農業の安全衛生を扱う基準の制定に向けた話し合いが行われます。今年の第1次討議を経て、来年、この分野に関する初の国際基準として、国内政策の枠組みとなるような基準の採択が期待されます。
Dその他
 この他に、人材開発と訓練に関する一般討議、各国の基準適用上の問題に関する個別審議、労働時間(炭坑)条約等いまだ未発効で存在目的を喪失してしまった5条約の撤回等が話し合われます。6月8日には、労働の世界におけるエイズ/エイズウイルス(HIV)に関するハイレベル会合が開催されます。
 今年の特別ゲストはサンパイオ・ポルトガル大統領です。

 ILO訪問団、ミャンマー政府と話し合い開始英語原文
    2000年5月23日(火)発表ILO/00/18

 ILOではミャンマーにおける強制労働の存在が問題視され、1998年に調査を行った審査委員会は強制労働の存在を指摘し、@法改正、A強制労働をなくすこと、B違反者の処罰を求める勧告を出しています。来る5月30日からジュネーブで開催されるILO総会では、ミャンマーにこの勧告の実施を求める措置が話し合われる予定となっていますが、これに先立ち、F・モーパンILO事務局長特別顧問を団長とするILO技術協力ミッションが5月24日より、ミャンマーを訪れ、首都ヤンゴンでミャンマー政府と話し合いを開始しました。この訪問は、「審査委員会の勧告の実施を確保する確かな行動計画を政府と定めること」を目的とします。訪問の成果は、総会に報告されます。

 初のILOグローバル・レポート、もっと広く労働における権利を尊重するよう求める英語原文
    2000年5月25日(木)発表ILO/00/17

 1998年に採択された「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」は、フォローアップ活動として、宣言に盛り込まれた四つの分野に関する全加盟国を対象とした総合調査の実施を定めていますが、この度、第1回目の調査報告書として「結社の自由と団結権」に関するグローバル・レポートが発表されました。レポートは来週からジュネーブで開催されるILO総会で、会期中の6月6日に審議されます。
 「職場の声」と題したグローバル・レポート(英文・2千円)は、「基本的原則が実際に全世界な許容事項となるまでの道のりはまだ遠い」とし、依然多くの労働者が組合活動を理由とした迫害を受けている事実を指摘します。結社の自由の侵害例としては、労働組合の禁止(オマーン等)、組合活動家の殺人(コロンビア等)、暴力(エクアドル等)、逮捕(中国等)、強制国外追放(バーレーン等)、組合事務所の強制立ち入り(中央アフリカ共和国等)、複数組合結成禁止(キューバ等)等があげられます。農業労働者(アフガニスタン等)、家事労働者(ブラジル等)、外国人労働者(クウェート等)等、一部労働者に対する団結権拒否も見られます。農業労働者に次いで、制約を受けることが多いのは公的部門の労働者で、消防職員(日本等)、刑務所職員(スワジランド)、教員(カメルーン)、医療職員(ケニア)といった労働者の団結権が制限されています。報告書は、団結権が制限されても良いのは不可欠業務部門の軍隊と警察だけとします。そして、「団結権は労働に関わる他の権利を行使するためのカギ」であると強調し、@労働組合加入の自由、A健全な労使交渉、B基本的原則・権 利の果たす役割の認識を、権利実現に向けた優先事項とします。
 団結権を効果的に実現するための手段であるスト権も、一般的な禁止(リベリア等)、仲裁強制(アルジェリア等)、抗議スト制限(ボリビア等)、同情スト制限(オーストラリア等)、スト参加者の処罰(アゼルバイジャン等)等様々な制約を受けています。
 報告書は、グローバル化の進展は、結社の自由と団体交渉権を圧迫する危険性があると警告します。また、インフォーマル・セクターやパート等、未組織労働者の増加による「代表制の格差」の広がりを指摘し、このような人々を取り込む努力を求めます。

 グローバル化が輸送機器製造業界に革命を引き起こす。機器の製造、販売、解体方法に大きな変化英語原文
    2000年5月5日(金)発表ILO/00/16

 5月8〜12日の期間、ジュネーブでは輸送機器製造のグローバル化が社会と労働に与える影響に関する三者構成会議が開催されています。討議資料として発表された報告書は、グローバル化は輸送機器製造業界に革命を引き起こしつつあり、機器の製造、販売、解体方法が大きく変化しつつあるとします。
 自動車業界では下請外注化が進んだ結果、部品メーカーの成長が著しく、カナダや米国では既に、部品業界で働く労働者の数が完成品組立に従事する労働者の2倍に達したとします。このような傾向や週4日制等の新しい作業組織の導入によって、かつては高い組織率と強い交渉力を誇った組合も新たな対抗手段の模索を余儀なくされています。報告書は、21世紀には従来のスタイルの工場は消え、自動車会社は自社ブランドのもとに各種の輸送体系を集結させ、信用、保険、金融まで提供する総合マーケティング会社になるかもしれないとします。
 報告書はこの他に、造船、船舶解体、航空機、列車等、輸送機器業界の現状を広く吟味します。

 ILO事務局長、教皇ヨハネ・パウロU世臨席のもとで5月1日の「労働者の聖年祭」で演説し、「人間的な仕事に向けた国際的な連帯」を呼びかける英語原文
    2000年5月1日(月)発表ILO/00/15

 フアン・ソマビアILO事務局長は、5月1日にローマで開催された「労働者の聖年祭(Workers' Jubilee)」の催しに出席し、教皇ヨハネ・パウロ2世臨席のもと、参列の労働者、使用者、企業主の代表に対し、「人間的な仕事に向けた国際的な連帯」を呼びかけました。約20万人の出席者を前に、ソマビア事務局長は「世界経済に欠けている倫理的な柱」を構築し、「世界経済がほんの少数の人々ではなく、多くの人々に恩恵をもたらす」ことが確保されるよう、「世界経済を司るルールと方針」の再検討を唱えました。

2000年4月発表分

 世界の労働年齢人口の90%が十分な老齢年金受給できず◇年金制度の多くは運営に問題◇人口の高齢化とリスクの多様化への対処が課題英語原文
    2000年4月28日(金)発表ILO/00/14

 ILOは4月28日、「社会保障年金の発展と改革(英文・1万2千円)」と題する約800ページの新刊を発表しました。同書は世界の労働年齢人口の約9割が十分な退職後の収入を得られる年金制度にカバーされておらず、存在する年金制度も多くは運営がまずく、うまくいっているところでも人口の高齢化とリスクの多様化によって近い将来、年金財政が危機に陥る可能性があると指摘します。そして、高齢化に対処する最善の方策は実際の退職年齢を引き上げ、働く女性を増やすことだと提案します。財政難解決策の一つとして考えられている金融市場における年金基金運用については、その不確実性と変動性に注意を促します。
 世界の社会保障の現状について、同書は、@旧ソ連諸国の年金制度は国家経済の崩壊で実質的に価値を失った、Aアフリカの年金制度は一般に非常にもろく、運営もまずい、Bアジアの年金制度は90年代後半のアジア金融危機で弱体化した、Cアラブ・中東の退職年金制度は比較的歴史が浅く、非受益者である外国人労働者の割合が高いことから生じる問題に直面している、D中南米の退職年金制度の多くは運営状態が悪く、私的年金等に変更した国が8カ国以上とします。
 年金受給者の割合を引き上げ、給付水準を改善する方法として、同書は、インフォーマル・セクターを中心とする非受益者層への保護の拡大をめざすこと、老齢年金に加え、障害・遺族年金の整備、インフレと生活水準の向上を考慮した給付水準の設定、付加的私的年金の開発、年金基金運営過程への労使の関与等を提案します。インフォーマル・セクターへの保護を拡大する手段としては、既存の制度の変更、除外された層を対象とした特別制度の設計、税ベースの貧困緩和措置の導入、自助を基盤とした特別制度開発の奨励といった手段をあげます。年金給付年齢を引き上げる際には、高齢者の障害・失業給付を改善する必要が生じると警告し、多くの事情を考慮に入れる必要を唱えます。また、単一の完璧な退職年金制度の開発を追求することは避け、複数の柔軟な構造を開発する必要があるとします。
 なお、5月19日(金)15:00〜17:00に日本労働研究機構LINCホールで、本書編集者であるコーリン・ギリオン社会保障局長による本書出版記念来日講演会が予定されています。

 ウクライナの労働者不安:大半の労働者が無給休業中か賃金の支払いを受けていないことを示す調査結果発表英語原文
    2000年4月25日(火)発表ILO/00/13

 ILOは4月25日に、「ウクライナ産業の労働者不安:1999年ウクライナ労働力流動性調査」と題する報告書を発表しました。ウクライナ国内の代表的企業690社(雇用労働者総数約60万人)をカバーするこの大規模抽出調査から、独立以後のウクライナの苦闘が明らかになりました。
 主な調査結果は次の通りです。@ウクライナの工業企業の稼働率は44%未満、Aもっと少ない労働者数で現在の生産高を維持できるとする企業は調査対象企業全体の38%超、B雇用者数に数えられるが、実際はレイオフ状態にある労働者数が全体の18%超、C短時間勤務労働者の割合が20%超、D名目上、工場に雇われている女性の約12%が長期「産休」取得中、E賃金支払いが非常に困難と回答した工場が1999年には80%超、F契約賃金額を支払っていない工場が5社中4社。
 1991年に独立国家となったウクライナの人口は現在、10年前より約200万人少ない5千万人弱。人口減少の主な理由は死亡率の増加にあり、現在、男性の平均寿命は10年前より約3歳低下し、62歳。ILOの報告書執筆責任者は、成人の高死亡率は生活水準低下の証拠とし、この国の社会的、経済的、政治的、人口学的危機に世間はもっと注意を払うべきとします。

 ILOの研究、世界の年金制度に「広がる激動」を取り上げる英語原文
    2000年4月18日(火)発表ILO/00/12

 ILOは4月27日に、ロンドンのILO事務所で、「社会保障年金の発展と改革(英文・1万2千円)」と題する約800ページの大著を発表します。世界各地の年金基金の現状を吟味し、各種の提言を行う本書は、年金準備基金がないか不十分なため、世界の労働力の最大90%までが老齢または退職給付を受けられない可能性があり、最も裕福な国でも、人口の高齢化と退職給付支出の増大に直面し、年金基金の財政不足がますます深刻化しているとします。
 報告書の本体は東京支局でもご覧になれます。

 ILO、教育の動向に関する会議を開催−生涯学習の必要性高まる英語原文
    2000年4月7日(金)発表ILO/00/11

 4月10〜14日の日程で、ジュネーブのILO本部では21世紀における教職員及び学校の役割の変化と職場学習の変化を吟味する「21世紀の生涯学習に関する労使合同委員会」が開催されます。日本を含む50カ国以上の政府、民間使用者、教員組合の代表、及び非政府機関オブザーバーの参加のもと、生涯学習に関する政策と慣行に関する話し合いが行われます。
 討議資料として発表された「21世紀の生涯学習」と題する報告書(英文・2千円)は、21世紀に向けた生涯学習のニーズと重要性の高まりを予見しながら、世界では基礎学齢期にある児童約1億3,000万人(うち3分2近くが女児)が基礎教育を受けられず、世界人口の6分の1近くが読み書きができないといったように、学習のインフラの面でも就学の機会提供の面でも揺籃期にある状態を指摘します。また、生涯学習に向けた教育体制変革の中心は、教育制度の機能を支援する人々、管理者、教員のプロフィール、役割、責任、労働条件の明確な定義にあるとし、具体的には、教員が指導方法やカリキュラム開発等においてより多くの管理責任を担う「プロフェッショナル化」の流れを指摘します。

2000年3月発表分

 第277回ILO理事会閉会英語原文
    2000年3月31日(金)発表ILO/00/10

 ジュネーブで開かれていた第277回ILO理事会は、3月31日、全ての日程を終えて閉会しました。理事会の主な決定事項は次の通りです。@国際貿易の社会的側面を吟味するため、1994年に設置された理事会作業部会の名称を「グローバル化の社会的側面作業部会」と改称し、活動内容を拡充することが決定されました。AILO創立以来初めて、ILO憲章規定第33条を発動し、今年6月に開催されるILO総会で、強制労働の存在が指摘されているミャンマーの問題を議題として取り上げ、是正を求める審査委員会の勧告が実施されるための措置を検討することに決定しました。B1998年に採択された「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」の初のフォローアップ活動として提出された基本的権利条約未批准国からの年次報告を吟味し、基本的権利条約の批准と適用に向けた技術協力の重要性が指摘されました。C今年6月に開催される国連女性会議に向けたILOの参加準備活動として会期中に開かれた女性の人間的 な仕事をテーマとした特別シンポジウムでは、職場の性差別撤廃の課題が強調されました。Dイスラエル占領地の労働者の利益のため、中小企業の雇用・所得創出力の強化を目指し、技術協力を強化することが決定されました。E結社の自由委員会では、オーストラリア、バングラデシュ、ブルガリア、カナダ、キューバ、韓国、ジンバブエ等の案件に関する中間結論が出されました。

 ミャンマーで依然見られる強制労働にILO、異例の憲章手続きを適用英語原文
    2000年3月29日(水)発表ILO/00/9

 ILO理事会は、3月28日に、ILO創立以来初めて、ILO憲章規定第33条を発動し、今年6月に開催されるILO総会で、強制労働の存在が指摘されているミャンマーの問題を議題として取り上げることを決定しました。理事会は、1998年に出された審査委員会の勧告にミャンマーが従うことを確保する賢明で適切な活動を総会が取るよう求めています。総会は、ミャンマーがILO加盟諸国との関係を通じ、同国で行われている強制労働を存続・拡大させないことを確保するよう、加盟国に対し、ミャンマーとの関係を見直し、適切な措置を講じるよう求めるものとなる可能性があります。
 1998年の審査委員会は、「ミャンマーでは、人間の尊厳、安全、健康、基本的ニーズに全く配慮せず、国内法上も実際にも、広くシステマチックに強制労働の廃止義務が守られていない」と結論づけ、法の改正、強制労働の廃止、違反者の処罰等を求める勧告を出しています。ILO事務局長が今回の理事会に提出した勧告の実施状況に関する報告は、法改正も不十分で、ポーター、メッセンジャー、見張り、建築労働者等として、依然、国民が広く強制的に動員され、軍の動員命令に従わなかった場合には、逮捕や拷問といった事例も見られるとします。
 既に昨年の総会で、「審査委員会の勧告の即時実行と直接支援を目的としたものを除き、ミャンマー政府に対し、ILOは技術協力・支援を行わない」とする異例の決議が採択されています。

 ILO、女性の人間的な仕事に焦点を当てたジェンダー・シンポジウムを開催−1995年女性会議以降の進展を明らかにし、「顕著な男女格差」を吟味する英語原文
    2000年3月23日(木)発表ILO/00/8

 ILOは3月24日にジュネーブで「女性の人間的な仕事」をテーマとする特別シンポジウムを開催します。今年6月に開催される国連女性会議に向けたILOの準備活動を代表するこのシンポジウムでは、◇男女の人間的な仕事における進展とギャップ◇女性労働者の権利推進◇男女別の視点から見た貧困、雇用、社会的保護◇女性の経営開発と企業家精神◇危機対応と再建における女性といったテーマに関する話し合いを通じ、現時点で存在する男女平等を阻む障害を把握し、将来に向けた方針と活動を立案し、1995年の北京女性会議以来ILOが取ってきたイニシアチブを更に深めることをめざします。ILOの男女平等局は国連女性会議に向け、「男女は平等なパートナー(Gender: A Partnership of Equals)」と題する報告書を作成し、労働の世界に依然存在する男女格差の現状を指摘しています。

 ILO、西岸・ガザ地区の労働市場問題に取り組む計画を発表−国際社会に資金協力を求める英語原文
    2000年3月23日(木)発表ILO/00/7

 ILOは3月23日付で発表した報告書の中で、パレスチナ(ガザ・西岸)経済が高失業率、景気低迷、年5%を超えるスピードで爆発的に伸び続ける労働力人口によって、労働力を吸収できないという大きな問題に直面している事実を指摘し、ガザ・西岸地区における中小企業の雇用及び所得創出力の強化を目指した総額2,000万ドルの3カ年技術協力計画を提案し、国際社会の資金協力を呼びかけました。今年1月にガザ・西岸地区に派遣された専門家グループによって編纂された報告書は、同地域では民間企業の約97%が従業員10人未満の小企業(大半が家族企業)であり、高い成長潜在力を秘めながら、総合的な小企業育成政策の欠如、小企業の利益代表団体の不在、厳しい融資条件、低労働条件といった制約により成長が阻害されているとし、総合的な雇用・企業育成戦略の立案等を通じ、これらの障害の除去をめざす技術協力計画を提案しています。

 ILO東ティモール支援計画を発表英語原文
    2000年3月21日(火)発表ILO/00/6

 ジュネーブで開催中の第277回ILO理事会では、3月21日に復興、雇用、技能訓練に関する東ティモール支援計画が検討されます。昨年の独立以来、高失業率(現在80%超)、7割以上の建築物の破壊といった社会不穏の原因となる問題を抱え、苦しんでいる東ティモールに対する、期間3年間、予算約2,270万ドルの支援計画は、国連東ティモール暫定行政機構(UNTAET)との協力のもと、ILOアジア太平洋総局が実施を担当します。具体的には、@労働集約型の再建計画による緊急雇用創出、Aライフラインの復旧、B中小企業及び少額融資制度の推進、C職業教育訓練機関の復興と開発、D就職登録・職業安定所の設置といった活動が予定されています。

 第277回理事会、宣言フォローアップ、女性シンポジウム、ミャンマーを扱う−東ティモールのホセ・ラモス・ホルタ氏、理事会委員会で演説予定英語原文
    2000年3月15日(水)発表ILO/00/5

 3月16〜31日の日程で、ジュネーブにおいてILOの第277回理事会が開催されます。主な審議事項は以下の通りです。
 @東ティモール:東ティモールその他の危機的状況にある地域に対するILOの雇用・社会的側面に関する戦略・活動検討の一環として、3月21日に東ティモールの政治的指導者の一人であるホセ・ラモス・ホルタ氏(ノーベル平和賞受賞者)の演説が行われます。
 A基本宣言フォローアップ:1998年に採択された「労働における基本的権利及び原則に関するILO宣言」をフォローアップする最初の年次報告が理事会に提出され、検討されます。報告は労働における基本的権利・原則とされる結社の自由、団体交渉、強制労働・児童労働・差別の廃止に関するILO条約未批准国から出された現状報告をまとめたものです。専門家諮問団による序文に加え、該当政府から提出された報告並びに労使団体からのコメントが掲載されています。
 B男女差別:第4回世界女性会議開催から5年後の今年は、そのフォローアップとして、6月5〜9日にニューヨークで国連主催による「2000年女性会議」が開催されます。会議に対する理事会の強い支援を表明するものとして、3月24日に、「女性の人間的な仕事」をテーマとする特別シンポジウムが開催されます。シンポジウムでは人権、社会正義、持続的な経済・社会開発といった側面から女性の人間的な仕事を促進することの重要性が検討されます。
 Cミャンマー:強制労働の存在が指摘されてきたミャンマーに対して出された審査委員会の勧告実施状況を吟味した事務局長報告が提出されます。報告は、委員会の勧告が依然実行されておらず、いまだ強制労働が広く見られるとします。理事会はこの報告をもとに、今年6月に開催されるILO総会でこの問題を取り上げるかどうか決定を下します。
 この他に、2002年のILO総会の議題、貿易自由化の社会的側面作業部会の活動内容の見直しといった案件が検討されます。

 初の中核的労働基準年次報告発表英語原文
    2000年3月8日(水)発表ILO/00/4

 ILOは3月8日、1998年の総会において、賛成273票、反対ゼロ、棄権43票で採択された「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」の初のフォローアップ報告書を発表しました。国際社会は結社の自由及び団体交渉権の効果的な承認、あらゆる形態の強制労働の廃止、児童労働の実効的な廃止、雇用及び職業における差別の排除といった、労働における基本的原則及び権利について、関連するILO条約を未批准の場合にもその尊重、促進、実現に向けて努力することと明記するこの宣言のフォローアップは、@前記基本的原則・権利に関わるILO条約未批准国の年次現状報告、A全加盟国を対象とした概観報告であるグローバル・レポート、B@及びAによって必要性が明らかになった技術協力の提供、行動計画・優先事項の設定から構成されますが、今回発表された報告書は@に当たり、3月16日から開始されるILO理事会でその内容が検討されます。
 報告書をまとめた専門家諮問団は、「依然、結社の自由と団体交渉の権利行使の基礎となる基本的な市民的自由が侵害されている」ケースの存在も指摘しながら、コロンビア、インド等幾つかの国では好ましい展開が見られていると記します。現在、ILOが中核的条約と称している基本的権利・原則に関わる条約は7つあり、全部を批准している国は加盟国175カ国中59カ国にのぼります。日本は、強制労働廃止条約(第105号)、差別待遇(雇用及び職業)条約(第111号)、最低年齢条約(第138号)の3つが未批准です。

 ILO会議、採用における人種障壁を検討−労働市場における移民労働者に対する「かなりの差別」英語原文
    2000年3月8日(水)発表ILO/00/3

 ILOは3月8〜11日の日程で、外国人労働者と少数民族労働者の雇用差別に関するハイレベル三者構成セミナーをジュネーブで開催しています。会議には欧州を中心に、約60名の政労使代表団が出席しています。討議資料として発表された報告書「労働市場における移民労働者差別−欧州4カ国の比較研究」は、西欧及びその他先進国では雇用上のかなりの人種差別が見られるとし、複数の西欧諸国の調査結果から、公募求人の1/3以上が少数民族の労働者には閉ざされている事実が判明したとし、外国人風の名前であるだけで応募書類さえ受け付けてもらえない求職者が多数に上るとしています。また、差別の傾向が成長産業であるサービス産業に特に強く、移民労働者・少数民族労働者はダウンサイジングが目立つ製造業に集中しているのは憂慮すべき事態であるとしています。セミナーは欧州及び先進国における移民労働者・少数民族労働者の雇用障壁除去に向けた人権及び政治上の課題を吟味します。

 世界の外国人労働者数1億2,000万人に達する、ILO発表−外国人労働力の主要受け入れ国は67カ国英語原文
    2000年3月2日(木)発表ILO/00/2

 ILOはこの度、外国人労働に関する新刊「国境のない労働者−国際労働力移動に対するグローバル化の影響(英文・約200ページ・2,750円)を発刊しました。世界152カ国の移民パターンを分析した結果、同書はグローバル化は人の移動を活発化させ、現在、世界の外国人労働者数の総計は1億2,000万人を超え、この20年間で労働者の受け入れ国数と送り出し国数がほぼ倍増、送り出しと受け入れの双方が見られる国の数がほぼ4倍になり、人の移動はますますグローバル化し、複雑になっているとします。報告書はまた、労働者が国外に流出する要因として生活水準・賃金格差と他国における仕事の存在を指摘し、新規外国人労働者受入規制は、不法移民の増加と人の移動を支援するいわゆる「移民産業(文書偽造、就職斡旋等)」の誕生をもたらしたとし、例えばバンコクは日本や韓国の偽造パスポートの一大生産地となっているとします。人の流れのグローバル化の特徴として、@米国では移民が就いている職は外国からの競争の影響を受けやすい、A西欧では相変わらずドイツに向かう外国人労働者が多い、B旧ソ連国民のロシア流入が続いている、C湾岸諸国では、湾岸戦争で一時減った外国人 労働者が再び戻ってき、外国人労働力への依然度が相変わらず高い、C東・東南アジアでは日本及びシンガポール等新興工業国に向かう外国人労働者数が増えている、Dアフリカではアパルトヘイト後の南アフリカへ近隣諸国から労働力が流入しているといった傾向が見られるとします。

2000年2月発表分

 報道・娯楽産業労働力に対する技術変化の影響−ジャーナリストの多能化、フリーランス化、女性化進む英語原文
    2000年2月28日(月)発表ILO/00/1

 ILOは2月28日〜3月3日の日程で、ジュネーブにおいて報道・娯楽産業の雇用、労働条件、労使関係に対する情報技術の影響に関するシンポジウムを開催しています。討議資料として作成された同名の報告書(英文・1,750円)は、情報技術は報道、娯楽産業の労働力構成を変え、オンライン、オフラインの様々な形態による記事作成を求められるジャーナリストの多能化、情報技術の発達に伴う正社員とフリーの壁の低下、女性の進出の機会の拡大をもたらしたと記します。インターネットの急成長と情報技術の進歩は「情報過重労働型」の労働災害の発生を招き、伝統的なマスコミ職の多くを削減し、日刊紙を中心に職務形態を変化させ、クリエイティブなマルチスキルワーカーに対する需要を高めましたが、産業全体としては就業人口が減っています。労働力の分散と業務の下請け発注が進み、伝統的な労使関係は対応に苦慮しています。ソマビアILO事務局長は、インターネット利用者が北米では6人に1人であるのに対し、アフリカでは5,000人に1人である事実を指摘し、貧しい国と富める国との間の「デジタ ル分断」を警告し、「グローバル化の恩恵を途上国に広げるもっとも費用効率の高い手段の一つはインターネットへのアクセスを改善することかも知れない」と唱えます。
 会議には、世界40カ国から政労使が出席し、急速に変化する娯楽・報道産業における労働条件と労使関係の変化を吟味します。

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最終更新日:2002年1月17日 作成者:EU 責任者:MH