
撤廃期限付きプログラムの基本的特徴
TBPはいくつかの重要な特徴をもっています。このプログラムは、
・計画、実施、そして資金の動員が、当該国により決定され、実施される。
・包括的で、十分に国の開発計画に統合されなければならない。
・多くの利害関係者(政策決定者、実施機関、労使団体、ドナーを含む)の積極的な参加が求められる。
・各国の個別的状況に対応できる柔軟性を必要とする。
・最悪の形態の児童労働の撤廃という目的が効果的に時機よく達成されることを確実にするために、制度的に監視され、評価されなければならない。
◆国の主体性 TBPの立案と実施の主要な責任は国の機関や組織にあります。TBPという多部門参加プログラムは、国の主体性なしには効果的かつ持続的に立案され、実施できないのです。TBPプログラムを編成し、実施のための組織メカニズムをデザインし、立ち上げ、必要な人的経済的資源を導入するのは政府の責任です。IPECは、国際社会の支援によって、この取り組みを追加的な資源と技術協力で支えているのです。プログラム開発と実施におけるIPECの役割は、触媒役、推進役、そして政策的・技術的支援の提供者となることです。国の責任は、政府機関や社会的パートナー、そしてNGOの積極的参加の確保を含みます。
国の最高レヴェルで政治的支援を引き出すことはTBPの円滑な実施と持続可能性の確保にとって最も大切な要素です。強力な政治的取り組みは、児童労働問題を関連国内法や開発政策・プログラムに組み込み、最悪の形態の児童労働の廃止に向けた国内財源を動員する主体的な政策とプログラム形成にとって必須の前提条件なのです。
◆包括的で統合されたアプローチ
TBPは、児童労働問題はその根幹に効果的に対応しない限り、撤廃を維持することはできないという理解から多くの教訓を引き出しています。児童労働の原因と結果の多部門的性質は、多くの社会経済的部門を取り込んだ包括的アプローチを必要とします。実際のところ、TBPを実施する理想的なアプローチは、教育や雇用、所得創出、社会的保護、保健といった分野で貧困削減目標を追求する国の開発枠組みにTBPプログラムを完全に統合する、あるいはその中で主流化することなのです。
主流化はまた、上に挙げたような社会経済開発の他の分野におけるプログラムとの間で共通の目標設定を促進します。それは、他の社会目標へ向けられた資源が、児童労働の被害者や就労の危機にある子どもたちのためにも活用されるということなのです。TBPによる介入は、持続可能性を確保するために部門間や利害関係者間の相乗効果を利用すべきです。
◆広範な参加
TBPアプローチは、確立されたIPECの参加型アプローチを新しいレヴェルへ導きます。これは中央、地方の政府部門や政府機関と協調し、労使団体や労働省、そして他の伝統的なNGOパートナーを、プログラムの準備や実施など様々な段階に統合していきます。したがって問題分析、介入する地区や部門の選定、目標設定、戦略の選択、実施の手順、資金の動員やプログラム開発の各段階においては、主要な利害関係者間での広範な協議を必要とします。さらに、TBPの効果的な実施は、多部門・多機関による協調のメカニズムの構築を必要とするのです。こうした機能は、利用できる既存のメカニズムの中で、あるいは必要であれば新しいメカニズムを立ち上げることにより実施されます。
TBPのための強固な社会的基盤を持つことの重要性は強調されすぎることはありません。同時に、子どもたちやその家族、先生、地域コミュニティ、労使団体、NGO、中央政府、地方自治体とメディアの積極的参加を伴う関心や支援が必要なのです。
◆柔軟性
現在のTBPの下で必要とされる介入の数やタイプは、蔓延する最悪の形態の具体的原因と結果、短中期に改善が必要な政策ギャップの程度、そして問題に対応するためのインフラやサーヴィスの程度を含めた児童労働問題の規模と複雑性によって決まります。プログラムの内容もまた、人的経済的支援の利用可能性、実施能力、そして政治的社会的支援の程度次第なのです。こうした要素はまた、問題に効果的に対処する時間の長さにも影響を与えます。
上述に照らすと、このアプローチの底流にある大原則は柔軟性です。TBPというコンセプトは最悪の形態の児童労働の程度や性質、制度的技術的能力について、国内事情の多様性を考慮に入れてデザインされています。児童労働問題の程度と人的経済的資源の利用可能性によって、TBPは大規模に開始することができ、そして相対的に短期間ですべての最悪の形態の児童労働を撤廃することを目標にできるのです。あるいは相対的に小規模で開始し、長期間をカバーする漸進的な普及計画を採用することもできます。たとえば、プログラムは選定された最悪の形態の児童労働に最初に注目し、段々と他の形態に拡張することができるでしょう。同様に、2,3の地域から始め、漸進的に国全体をカバーするように拡大することもできるでしょう。この拡大のスピードも子ども搾取の広がり具合や深刻さ、利用できる資源によって決定されるでしょう。
◆確実なデータ収集と分析に基づく計画
TBPアプローチはまた、実証データに基づくという点で、IPECとパートナーが進化させてきたプログラム形成過程を新しいレヴェルへと導いています。IPECが支援するプロジェクトには、データ収集に関して、状況分析なしに開発されたものもわずかにありますが、TBPがデータ収集と分析から情報を受けてきた程度はこれまで例のないものです。データに基づいたアプローチの採用に対するIPECの強力な支援は、TBPの開発におけるプログラムデザインを改善し、介入の効果を高めることを目的としています。したがって、典型的なTBPの開発は以下の段階を含んでいます:
・児童労働問題があるとされる主な部門や産業における児童労働の程度と性質を計る事前調査
・児童労働の原因と結果の分析
・労働法、法制度、法執行、教育や貧困軽減戦略を含んだ国家経済開発
・子どもに焦点を当てた職業上の安全と健康の研究
・プロジェクトや政策の実施における主要なパートナーの経験の「介入図の作成」
データ分析と政策の見直しは、TBPの下で優先的な注意を必要とする児童労働の形態の確定と、ターゲットの設定や戦略策定のための指標の決定および使用、そして結果的にはプログラムの監視と評価に対しても情報を与えてくれます。体系的な計画はまた、論理的、戦略的な枠組みの開発と、プログラムデザインの中でされなくてはならない潜在リスクの評価及び推定を通じて促進されてきました。このアプローチは実行可能で、関連性のある、そして一貫したプログラムのデザインにとって必須なのです。それはまたプログラムの目標達成へ向けた進捗状況の評価と介入のインパクトの評価にとっても必須といえます。
データに基づく計画の強調は、児童労働情報を集積するIPECの「児童労働に関する統計情報と監視プログラム(SIMPOC)」が、児童労働データの収集・分析能力を強化する技術支援としての役割を拡大したことにより、促進されました。IPECは既存のデータのより良い使用を支援しており、費用効率のよい手法を用いた新しいデータの収集作業で補完しています。このアプローチは、体系的な分析と、政策やプログラム開発、実施におけるデータの活用を促進しています。
◆体系的なプログラム監視と評価
監視と評価はTBPの重要な要素です。効果的な監視と評価は、TBPがダイナミックで、必要に応じて、その目的が調節されることを確実にします。それはまた、プログラムデザインのための将来的教訓を提供するものでもあります。TBPは、明確に決められた指標とターゲット、そして計画、監視及び評価のための効果的で費用効率のよいデータ管理システムを備えるべきなのです。
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