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ILO駐日事務所(旧ILO東京支局)再開設50周年記念シンポジウム

挨  拶

日本ILO協会会長 中村 正

中村日本ILO協会会長写真  ILOは、国際機関の中でも、日本で特に広く知られている機関である。しかし、誤解されている面も多い。一部の人々からは、ILOは政府と公共部門の労働者の争い事に判断を下す機関であると思われているようである。ILOがマスコミでとりあげられる場合、その面が中心になることも、この誤解を助長する一因となっている。
 タピオラ氏のスピーチにもあったように、ILOは、国際機関としてはめずらしい監視機構を持った機関である。この監視機構が有効に機能すればするほど、政労使の一方は大きな期待を持ち、他方はそれに対し非常な幻滅あるいは苦々しさを感じる。このため、ILOが期待している社会対話は成功しない場合があるというジレンマがある。最近、日本のみならず、東アジアあるいはアジア全般において、ILOが誤解に基づいて理解される傾向があるようだ。
 アジアは非常な発展を遂げたが、労働分野では大きな問題を残している。ILOは、タピオラ氏等が説明されたように、「世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができる(ILO憲章前文)」という崇高な理念に基づいて設立された。ILOの現実の活動は、雇用の安定、労働条件の保護、労働基本権の確立、政労使の対話の促進など広範多岐に亘っており、そのための手段として国際労働基準を設定し、技術協力を行っている。今こそ、アジアにとってILOは必要といえるであろう。
 日本は戦後60年で大きな成長を遂げたが、労働問題については、世界で注目を浴びるような対応をしてきた。今こそ、ILOを通じて、日本の経験をいい例、悪い例を含めて、アジアに提供する、あるいは開発途上国に提供することは非常に意味があると思う。
 本日の午後は、時間は決して長くないが、「ILOに期待すること」と題したパネルディスカッションが行われることになっている。私は、パネリストの方々が日本という視点でみたILOへの期待に限られることなく、アジアの視点からILOに期待するという観点で、議論をされることを期待している。結論は出ないであろうが、この議論が基礎となって発展し、ILOに対する誤解が解消し、ILOが正当な理解の下に評価されるようになることを期待する。



最終更新日:2005年12月19日 作成者:AT 責任者:MH